令和7年度第2回 工事担任者 総合通信「基礎」過去問と解説
工事担任者試験(総合通信)令和7年度第2回の「電気通信技術の基礎」全22問を、問題文・選択肢・正解と、根拠や計算過程まで書いた解説つきでまとめました。各問の「正解と解説を見る」を開くと答えを確認できます。
第1問
第1問(ア)直流回路(キルヒホッフの法則)
図1に示す回路において、2オームの抵抗に流れる電流は、(ア)アンペアである。ただし、電池の内部抵抗は無視するものとする。
問題図(出典:日本データ通信協会)
- ①1
- ②2
- ③3
- ④4
- ⑤5
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正解:④ 4
2つの電池の間の点(左の中央)を電位0Vとすると、上の電池の上端は+40V、下の電池の下端は-40Vです。右側の中央の点の電位をVとして、その点に流れ込む電流の和を0とおきます(キルヒホッフの電流則)。
- 上の経路(1Ω+1Ω=2Ω):(40-V)÷2
- 中央の2Ω:(0-V)÷2
- 下の経路(1Ω+3Ω=4Ω):(-40-V)÷4
(40-V)/2-V/2+(-40-V)/4=0 を解くと 10=1.25V より V=8V。
2Ωの抵抗に流れる電流は 8÷2=4A です。
第1問(イ)交流回路(LC並列)
図2に示す回路において、端子a-b間に45ボルトの単一周波数の交流電圧を加えたとき、回路に流れる全電流Iは、(イ)アンペアである。
問題図(出典:日本データ通信協会)
- ①3
- ②6
- ③9
- ④12
- ⑤15
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正解:② 6
コイルに流れる電流は 45÷3=15A(電圧より90°遅れ)、コンデンサに流れる電流は 45÷5=9A(90°進み)です。
2つの電流は向きが正反対なので打ち消し合い、全電流は 15-9=6A になります。
第1問(ウ)電磁気(ファラデーの法則)
電磁誘導によって巻数Nのコイルに生ずる誘導起電力eは、コイルを貫く磁束Φが時間tとともに変化する割合をΔΦ/Δtとすると、次の関係式で表される。
e=(ウ)×ΔΦ/Δt
- ①1/N²
- ②1/(2N)
- ③√N
- ④N
- ⑤N²
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正解:④ N
ファラデーの電磁誘導の法則により、誘導起電力は「巻数×磁束の変化率」で e=N×ΔΦ/Δt です(向きを含めると-Nの符号が付きます)。
1巻きごとに同じ大きさの起電力が生じ、それがN巻き分直列につながると考えると覚えやすいです。
第1問(エ)電磁気(電磁力)
磁束密度Bテスラの平等磁界内において、磁界に直交して長さLメートルの直線導体を置き、この直線導体にIアンペアの直流電流を流したとき、この直線導体には、磁界及び電流に垂直な方向に、(エ)ニュートンの力が働く。
- ①BIL
- ②BI²L
- ③BI³L
- ④B²IL
- ⑤B³IL
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正解:① BIL
磁界中の電流に働く力(電磁力)は F=BIL〔N〕です。力の向きはフレミングの左手の法則で求めます(中指=電流、人差し指=磁界、親指=力)。
第2問
第2問(ア)半導体(拡散とドリフト)
半導体の特性について述べた次の二つの記述は、(ア)。
A 半導体中の自由電子や正孔に濃度差があるとき、自由電子や正孔が濃度の高い方から低い方に移動する現象は、拡散といわれる。
B 半導体に電界を加えたとき、半導体中の自由電子や正孔が電界から力を受けて移動する現象は、整合といわれる。
- ①Aのみ正しい
- ②Bのみ正しい
- ③AもBも正しい
- ④AもBも正しくない
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正解:① Aのみ正しい
A:濃度差による移動は拡散です。正しい。
B:電界から力を受けて移動する現象はドリフトです。整合ではないので誤り。
半導体中の電流は「拡散電流」と「ドリフト電流」の2種類、とセットで覚えましょう。
第2問(イ)トランジスタ(バイアス回路)
図1に示すトランジスタ増幅回路において、この回路のトランジスタの特性が図2及び図3で表されるとき、コレクタ-エミッタ間の電圧VCEは、(イ)ボルトとなる。ただし、R1は100オーム、R2は2.4キロオーム、R3は3キロオームとする。
問題図(出典:日本データ通信協会)
- ①2
- ②4
- ③6
- ④8
- ⑤10
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正解:④ 8
ベース電圧はR1とR2の分圧で決まります。VBE=20×100÷(100+2400)=0.8V。
図2でVBE=0.8Vを読むと IB=40μA。図3で IB=40μA の曲線を読むと IC=4mA。
R3での電圧降下は 4mA×3kΩ=12V なので、VCE=20-12=8V です。
第2問(ウ)ダイオード(ツェナー・可変容量)
ダイオードの特徴について述べた次の二つの記述は、(ウ)。
A ツェナーダイオードは、逆方向に加えた電圧がある値を超えると急激に電流が増加し、広い電流範囲で電圧を一定に保つ特性を有する。
B 可変容量ダイオードは、コンデンサの働きを持つ半導体素子であり、pn接合ダイオードに加える逆バイアス電圧を制御することにより、静電容量を変えることができる。
- ①Aのみ正しい
- ②Bのみ正しい
- ③AもBも正しい
- ④AもBも正しくない
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正解:③ AもBも正しい
A・Bとも正しい。
- ツェナーダイオード:降伏電圧で電圧を一定に保つ。定電圧回路に使う
- 可変容量ダイオード(バラクタ):逆バイアスを大きくすると空乏層が広がり、静電容量が小さくなる。同調回路などに使う
第2問(エ)バリスタ
バリスタは、(エ)特性が非直線的な変化を示す半導体素子であり、過電圧の抑制、衝撃性雑音の吸収などに用いられる。
- ①静電容量-温度
- ②損失-位相
- ③電圧-電流
- ④周波数-振幅
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正解:③ 電圧-電流
バリスタは、ある電圧を超えると急に抵抗が下がって電流が流れる、電圧-電流特性が非直線的な素子です。雷サージなどの過電圧から回路を守るために使われます。
温度で抵抗が変わるのはサーミスタです。
第2問(オ)トランジスタ(接地方式)
トランジスタ増幅回路を接地方式により分類したとき、入力インピーダンスが最も小さく、出力インピーダンスが最も大きいものは、(オ)接地の回路である。
- ①コレクタ
- ②ベース
- ③カソード
- ④エミッタ
- ⑤ソース
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正解:② ベース
入力インピーダンス最小・出力インピーダンス最大なのはベース接地です。
反対に、入力インピーダンス最大・出力インピーダンス最小なのはコレクタ接地(エミッタホロワ)。エミッタ接地はその中間で、電力利得が最大です。
第3問
第3問(ア)論理回路(ベン図)
図1、図2及び図3に示すベン図において、A、B及びCが、それぞれの円の内部を表すとき、図1、図2及び図3の斜線部分を示すそれぞれの論理式の論理積は、(ア)と表すことができる。
問題図(出典:日本データ通信協会)
- ①A・C
- ②A・C+B・C+A・B・C
- ③A・B・C+A・B・C
- ④A・B・C
- ⑤A・B+A・C+B・C
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正解:④ A・B・C
論理積は「3つの図すべてで斜線になっている部分」です。円を「Aだけ」「Bだけ」「AとBだけ」…の7つの領域に分けて、図ごとに斜線の有無を確認します。
3つの図すべてで斜線になっているのはAだけの領域(Aの円のうちBにもCにも入らない部分)だけです。
よって答えは A・B・C です。
第3問(イ)2進数の計算(乗算)
表に示す2進数のX
1、X
2を用いて、計算式(乗算)X
0=X
1X
2からX
0を求め、2進数で表示し、X
0の先頭から(左から)4番目と5番目と6番目の数字を順に並べると、(イ)である。
- ①000
- ②001
- ③101
- ④110
- ⑤111
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正解:① 000
10進数に直すと X1=110101=53、X2=11101=29 です。
X0=53×29=1537。1537=1024+512+1 なので、2進数では 11000000001(11桁)になります。
左から4・5・6番目は「0・0・0」なので、答えは000です。
第3問(ウ)論理回路(論理素子の特定)
図4に示す論理回路において、Mの論理素子が(ウ)であるとき、入力A及びBから出力Cの論理式を求め変形し、簡単にすると、C=A+B で表される。(選択肢は問題図の論理素子記号)
問題図(出典:日本データ通信協会)
- ①NOR
- ②OR
- ③排他的論理和(XOR)
- ④NAND
- ⑤AND
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正解:② OR
Mへの2つの入力を求めます。
- 上側:A と B のOR → A+B
- 下側:A と B のNOR → (A+B)=A・B(ド・モルガン)
MをORとすると C=(A+B)+A・B=A+B(A・BはAに吸収される)となり、条件に合います。よって②のORです。
ANDにすると C=(A+B)・A・B=A・B となり、条件に合いません。
第3問(エ)ブール代数
次の論理関数Xは、ブール代数の公式等を利用して変形し、簡単にすると、(エ)になる。
X=(A+B)・(A+C+A+B)・(A+C)
- ①0
- ②1
- ③A・C
- ④A・B・C
- ⑤A・B・C
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正解:③ A・C
ド・モルガンの法則で、A+C=A・C、A+B=A・B です。
X=(A+B)・(A・C+A・B)・(A+C)
(A+B)・(A・C+A・B)=A・C+A・B(A・A=A などで整理)。これに (A+C) を掛けると、A との積は0になり、A・C・C=A・C、A・B・C が残ります。
A・C+A・B・C=A・C(吸収則)です。
第4問
第4問(ア)伝送理論(伝送損失と線路長)
図1において、電気通信回線への入力電力が48ミリワット、電気通信回線の長さが(ア)キロメートル、その伝送損失が1キロメートル当たり0.8デシベル、増幅器の利得が26デシベルのとき、負荷抵抗R1で消費する電力は、240ミリワットである。ただし、変成器は理想的なものとし、入出力各部のインピーダンスは整合しているものとする。
問題図(出典:日本データ通信協会)
- ①15
- ②20
- ③25
- ④40
- ⑤45
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正解:② 20
変成器の2次側(300Ω)には、600ΩのR1とR2が並列につながっています(合成300Ωで整合)。電力はR1とR2で半分ずつ消費されるので、変成器から出る電力は 240×2=480mW。
入力48mWに対して480mWなので10倍、つまり+10dBです。
-0.8×L+26=10 より L=20km。
第4問(イ)伝送理論(伝送損失)
平衡対ケーブルの伝送損失について述べた次の二つの記述は、(イ)。
A 単位長さ当たりの心線導体抵抗を小さくすると、その伝送損失は増加する。
B 心線導体間の間隔を大きくすると、その伝送損失は増加する。
- ①Aのみ正しい
- ②Bのみ正しい
- ③AもBも正しい
- ④AもBも正しくない
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正解:④ AもBも正しくない
A:導体抵抗が小さいほど伝送損失は減少します。誤り。
B:心線間の間隔を大きくすると静電容量が小さくなり、伝送損失は減少します。誤り。
音声周波数帯の伝送損失は、おおよそ√(導体抵抗×静電容量)に比例すると覚えておくと判断しやすいです。
第4問(ウ)伝送理論(ひずみのない伝送)
アナログ信号を伝送する伝送路は、その減衰量が(ウ)に無関係に一定であり、かつ、位相変化が(ウ)に比例するとき、信号をひずみなく伝送できる。
- ①振幅
- ②雑音
- ③周波数
- ④変調度
- ⑤特性インピーダンス
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正解:③ 周波数
どの周波数成分も同じだけ減衰し(減衰ひずみがない)、位相の遅れが周波数に比例する(どの成分も同じ時間だけ遅れる=位相ひずみがない)とき、波形は崩れずに伝わります。
第4問(エ)伝送理論(変成器による整合)
図2において、通信線路1の特性インピーダンスが240オーム、通信線路2の特性インピーダンスが540オームのとき、巻線比(n1:n2)が(エ)の変成器を使うと線路の接続点における反射損失はゼロとなる。ただし、変成器は理想的なものとする。
問題図(出典:日本データ通信協会)
- ①2:3
- ②2:9
- ③3:2
- ④4:9
- ⑤9:4
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正解:① 2:3
理想変成器では、インピーダンスの比は巻線比の2乗になります。Z1:Z2=n1²:n2²。
n1:n2=√240:√540=√4:√9=2:3 です。
④の4:9はインピーダンス比そのものなので、2乗の関係を忘れないようにしましょう。
第5問
第5問(ア)デジタル変調(QPSK)
デジタル変調方式として1シンボル当たり2ビットの情報を伝送することができるQPSKを用いたデジタル伝送システムにおいて、ビットレートがNビット/秒の場合、シンボルレートは(ア)シンボル/秒である。
- ①N/4
- ②N/2
- ③N
- ④2N
- ⑤4N
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正解:② N/2
1シンボルで2ビット送れるので、シンボルレート=ビットレート÷2=N/2シンボル/秒です。
16QAMなら1シンボル4ビットなのでN/4、BPSKなら1ビットなのでNになります。
第5問(イ)PCM(復号)
PCM伝送における受信側では、伝送されてきたパルス列からサンプリング間隔で各パルス符号に対応するレベルの信号を生成し、サンプリング周波数の1/2を遮断周波数とする(イ)フィルタを通して信号を再生している。
- ①帯域阻止
- ②帯域通過
- ③低域通過
- ④高域通過
- ⑤利得等化
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正解:③ 低域通過
標本化定理により、元の信号の周波数はサンプリング周波数の1/2以下です。そのため、サンプリング周波数の1/2より低い周波数だけを通す低域通過フィルタ(LPF)で元の信号を取り出せます。
第5問(ウ)光変調(電気光学効果)
光ファイバ通信に用いられる光の変調方法の一つに、物質に電界を加え、その強度を変化させると、物質の屈折率が変化する(ウ)効果を利用したものがある。
- ①ファラデー
- ②ドップラー
- ③ラマン
- ④ブリルアン
- ⑤ポッケルス
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正解:⑤ ポッケルス
電界によって屈折率が電界に比例して変化する現象がポッケルス効果です。LiNbO3(ニオブ酸リチウム)を使った外部変調器などで利用されます。
ファラデー効果は磁界で偏光面が回転する現象です。
第5問(エ)雑音(再生中継・雑音指数)
雑音などについて述べた次の二つの記述は、(エ)。
A 再生中継を行っているデジタル伝送方式において、中継区間で発生する雑音には、ランダム雑音、熱雑音などがあり、これらの雑音は各中継区間ごとに累積されて伝達される。
B 増幅回路などにおける信号電力対雑音電力比の劣化の程度を表す尺度として、雑音指数が用いられる。
- ①Aのみ正しい
- ②Bのみ正しい
- ③AもBも正しい
- ④AもBも正しくない
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正解:② Bのみ正しい
A:再生中継器は、受信したパルスを識別して作り直すので、雑音は中継区間ごとに除去され、累積しません(識別を誤った符号誤りは累積します)。誤り。
B:雑音指数=入力のS/N÷出力のS/N で、増幅器などでS/Nがどれだけ悪化したかを表します。正しい。
第5問(オ)光ファイバ(分散)
シングルモード光ファイバの伝送帯域を制限する主な要因として、光ファイバの構造分散と材料分散との和で表される(オ)がある。
- ①波長分散
- ②偏波分散
- ③モード分散
- ④吸収損失
- ⑤散乱損失
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正解:① 波長分散
構造分散+材料分散=波長分散です。シングルモードファイバでは伝搬モードが1つなので、モード分散は生じません。
令和5年度第1回でもほぼ同じ文で出題されています。
解答一覧
出典:一般財団法人日本データ通信協会 工事担任者試験問題(令和7年度第2回)。解説は当サイトが独自に作成したものです。誤りにお気づきの場合はご意見フォームからお知らせください。