基礎令和4年度第1回 工事担任者 総合通信「基礎」過去問と解説
工事担任者試験(総合通信)令和4年度第1回の「電気通信技術の基礎」全22問を、問題文・選択肢・正解と、根拠や計算過程まで書いた解説つきでまとめました。各問の「正解と解説を見る」を開くと答えを確認できます。
第1問
第1問(ア)直流回路(対称性を使った合成抵抗)
図1に示す回路において、抵抗Rが4オームであるとき、端子a-b間の合成抵抗は、(ア)オームである。
問題図(出典:日本データ通信協会)
- ①6
- ②8
- ③10
- ④12
- ⑤16
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正解:② 8
aの右の抵抗Rの先の点をP、bにつながる点をQとして、P-Q間の抵抗を求めます。
回路は上下対称で、さらにPとQの真ん中を境に「左右で電位が反対称」になっています。そのため、真ん中の列の点(上・中・下)はどれも電位が等しく、真ん中の縦の抵抗2本には電流が流れません。取り除いて考えると、
- 上の経路:R×4=4R
- 中の経路:R×2=2R
- 下の経路:R×4=4R
これらの並列は 4R∥4R=2R、2R∥2R=R です。a-P間のRを足して 2R=2×4=8Ω。
格子状の回路は、対称性で「電流の流れない抵抗」を見つけると簡単に解けます。
第1問(イ)交流回路(LC並列とRの直列)
図2に示す回路において、抵抗Rに流れる電流Iは、(イ)アンペアである。
問題図(出典:日本データ通信協会)
- ①1
- ②2
- ③3
- ④4
- ⑤5
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正解:③ 3
コイル(3Ω)とコンデンサ(4Ω)の並列部分のリアクタンスは、電流の差で考えると X=(3×4)÷(4-3)=12Ω(誘導性)です。
Rとの直列なので、合成インピーダンスは Z=√(5²+12²)=13Ω(5:12:13)。
I=39÷13=3A。
LとCの並列は、リアクタンスの「積÷差」で求まる、と覚えておくと便利です。
第1問(ウ)電磁気(平行平板コンデンサ)
誘電率がεの絶縁体を間に挟む、面積がS、間隔がdの平行な導体板の間に生ずる静電容量は、(ウ)に反比例する。
- ①ε
- ②d
- ③d²
- ④√S
- ⑤S
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正解:② d
C=εS/d なので、静電容量は誘電率εと面積Sに比例し、間隔dに反比例します。令和5年度第1回には、面積と間隔を変えたときの倍率を求める問題が出ています。
第1問(エ)交流回路(共振周波数)
Rオームの抵抗、Lヘンリーのコイル及びCファラドのコンデンサを直列に接続した回路の共振周波数は、(エ)ヘルツである。
- ①1/(2π√(LC))
- ②R/(2π√(LC))
- ③1/(2πLC)
- ④R/(2πLC)
- ⑤√(1/(2πLC))
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正解:① 1/(2π√(LC))
共振は、誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスが等しくなるときに起こります。2πfL=1/(2πfC) を f について解くと f=1/(2π√(LC)) です。
共振周波数は抵抗Rには関係しません。直列共振ではインピーダンスが最小(Rだけ)になります。
第2問
第2問(ア)半導体(n形・ドナー)
半導体について述べた次の二つの記述は、(ア)。
A 4価のシリコン(Si)の真性半導体に、3価のインジウム(In)などの元素を微量に加えることにより、生成される自由電子が電気伝導の主たる担い手となる不純物半導体はn形半導体といわれる。
B 不純物半導体において、正孔を生ずる不純物はアクセプタといわれ、自由電子を生ずる不純物はドナーといわれる。
- ①Aのみ正しい
- ②Bのみ正しい
- ③AもBも正しい
- ④AもBも正しくない
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正解:② Bのみ正しい
A:3価の元素を加えると、正孔が多数キャリアのp形半導体になります。誤り。
B:正しい(令和7年度第1回では、ドナーとアクセプタを入れ替えた誤りの文が出題)。
第2問(イ)トランジスタ(コレクタ帰還バイアス)
図に示すトランジスタ回路において、VCCを10ボルト、RCを3キロオームとするとき、コレクタ電流ICを2ミリアンペアとするには、ベースバイアス抵抗RBを(イ)キロオームにする必要がある。ただし、直流電流増幅率hFEを100、ベース-エミッタ間の電圧VBEを0.64ボルトとする。
問題図(出典:日本データ通信協会)
- ①162
- ②165
- ③197
- ④232
- ⑤235
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正解:② 165
RBがコレクタとベースの間にある「コレクタ帰還バイアス」です。RCにはICとIBの両方が流れます。
- IB=2mA÷100=0.02mA
- VCE=10-3kΩ×(2+0.02)mA=10-6.06=3.94V
- RB=(3.94-0.64)÷0.02mA=165kΩ
IBを無視すると VCE=4V となり、168kΩに近い値になってしまうので注意しましょう(令和6年度第2回はVCC=12Vで265kΩ)。
第2問(ウ)波形整形回路(スライサ)
ダイオードを用いた波形整形回路において、入力信号波形から、上の基準電圧以上と下の基準電圧以下を切り取り、中央部(上下の基準電圧の間に入る部分)の信号波形だけを取り出す回路は、(ウ)といわれる。
- ①フリップフロップ
- ②ドライバ
- ③ベースクリッパ
- ④ピーククリッパ
- ⑤スライサ
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正解:⑤ スライサ
上下を切り取って中央部だけを取り出すのはスライサです。令和5年度第1回とほぼ同じ問題です。
第2問(エ)定電圧ダイオード(降伏現象)
定電圧ダイオードは、逆方向に加えた電圧がある値を超えると急激に電流が増加する(エ)現象を生じ、広い電流範囲で電圧を一定に保つ特性を有する。
- ①降伏
- ②ドリフト
- ③誘導
- ④漏話
- ⑤発振
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正解:① 降伏
逆方向電圧が一定の値(降伏電圧、ツェナー電圧)を超えると、急に電流が流れ出すのが降伏現象です。定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)はこれを利用して電圧を一定に保ちます。
第2問(オ)トランジスタ(ベース接地の電流増幅率)
ベース接地トランジスタ回路において、コレクタ-ベース間の電圧VCBを一定にして、エミッタ電流を2ミリアンペア変化させたところ、コレクタ電流が1.94ミリアンペア変化した。このトランジスタ回路の電流増幅率は、(オ)である。
- ①0.06
- ②0.94
- ③0.96
- ④0.97
- ⑤1.06
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正解:④ 0.97
α=ΔIC÷ΔIE=1.94÷2=0.97。令和5年度第2回(1.96mAで0.98)と同じ形の問題です。
第3問
第3問(ア)論理回路(ベン図・論理和)
図1、図2及び図3に示すベン図において、A、B及びCが、それぞれの円の内部を表すとき、図1、図2及び図3の斜線部分を示すそれぞれの論理式の論理和は、(ア)と表すことができる。
問題図(出典:日本データ通信協会)
- ①A+B+C+A・B
- ②A・B・C+A・B
- ③(A+B+C)・A+B
- ④(A+B+C)・A・B
- ⑤A・B・C+A+B
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正解:④ (A+B+C)・A・B
3つの図のどれかで斜線になっている部分を合わせると、円の内部のうちAとBが重なる部分(A・B)だけがどの図でも斜線になっていません。
「円のどこか(A+B+C)」で「A・Bではない」ので、(A+B+C)・A・B です。令和7年度第1回にも同じ答えになる問題が出ています。
第3問(イ)16進数の加算
表に示す16進数のX
1、X
2を用いて、計算式(加算)X
0=X
1+X
2からX
0を求め、これを16進数で表すと、(イ)になる。
- ①130C
- ②1378
- ③CFC
- ④D0C
- ⑤D0D
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正解:④ D0C
下の桁から筆算します。
- 1桁目:D+F=13+15=28 → 28=16+12 で「C」、1繰り上がり
- 2桁目:9+6+1=16 → 「0」、1繰り上がり
- 3桁目:1+B+1=1+11+1=13 → 「D」
よって X0=D0C です。
第3問(ウ)論理回路(フリップフロップ)
図4に示す論理回路は、NORゲートによるフリップフロップ回路である。入力a及びbに図5に示す入力がある場合、図4の出力cは、図5の出力のうち(ウ)である。
問題図(出典:日本データ通信協会)
- ①c1
- ②c2
- ③c3
- ④c4
- ⑤c5
- ⑥c6
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正解:③ c3
上側のNORには a・b(AND)が、下側のNORには a+b(=a・b)が入ります。2つの入力は常に逆なので、状態は保持されません。
- a・b=1のとき:上側NORの入力に1が入るので c=0
- a・b=0のとき:下側NORの入力に1が入り d=0、上側NORは両入力0で c=1
つまり c=a・b です。区間ごとに a・b は 0,0,0,1,0,0,0,1 なので、c は 1,1,1,0,1,1,1,0。これと一致するのはc3です。
第3問(エ)ブール代数
次の論理関数Xは、ブール代数の公式等を利用して変形し、簡単にすると、(エ)になる。
X=(A+A・B+A・C+B・C)・(A+A・B+A・C+B・C)
- ①0
- ②1
- ③A・B
- ④A・B・C
- ⑤B・C
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正解:⑤ B・C
吸収則(X+X・Y=X)で各かっこを整理します。
- 前半:A+A・B+A・C+B・C=A+B・C
- 後半:A+A・B+A・C+B・C=A+B・C
X=(A+B・C)(A+B・C)=A・A+B・C=B・C(分配法則 (X+Y)(Z+Y)=X・Z+Y を使う)。
第4問
第4問(ア)伝送理論(入力電圧の計算)
図1において、電気通信回線への入力電圧が(ア)ミリボルト、その伝送損失が1キロメートル当たり0.9デシベル、増幅器の利得が38デシベルのとき、電圧計の読みは、450ミリボルトである。ただし、変成器は理想的なものとし、電気通信回線及び増幅器の入出力インピーダンスは全て同一値で、各部は整合しているものとする。
問題図(出典:日本データ通信協会)
- ①2.7
- ②3.9
- ③27
- ④39
- ⑤66
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正解:③ 27
変成器の巻線比は3:5なので、電圧は5/3倍になります。電圧計が450mVなら、変成器の入力側(増幅器の出力)は 450×3÷5=270mV。
回線の損失は 0.9×20=18dB、増幅器で+38dBなので、全体は+20dB(電圧10倍)。入力電圧は 270÷10=27mV です。
第4問(イ)伝送理論(伝送損失)
伝送損失について述べた次の二つの記述は、(イ)。
A 同軸ケーブルは、一般的に使用される周波数帯において信号の周波数が4倍になると、その伝送損失は、約2倍になる。
B 平衡対ケーブルにおいては、心線導体間の間隔を大きくすると伝送損失が増加する。
- ①Aのみ正しい
- ②Bのみ正しい
- ③AもBも正しい
- ④AもBも正しくない
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正解:① Aのみ正しい
A:同軸ケーブルの損失は周波数の平方根に比例するので、4倍なら約2倍。正しい。
B:導体間の間隔を大きくすると静電容量が小さくなり、伝送損失は減少します。誤り。
第4問(ウ)伝送理論(電圧反射係数)
図2に示すように、特性インピーダンスがそれぞれ280オームと420オームの通信線路を接続して信号を伝送すると、その接続点における電圧反射係数は、(ウ)である。
問題図(出典:日本データ通信協会)
- ①-0.6
- ②-0.3
- ③-0.2
- ④0.2
- ⑤0.3
- ⑥0.6
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正解:④ 0.2
電圧反射係数は (Z2-Z1)÷(Z2+Z1)=(420-280)÷(420+280)=140÷700=0.2。
令和5年度第1回は280Ω→520Ωで0.3でした。
第4問(エ)伝送理論(電磁誘導電圧)
電力線からの誘導作用によって通信線に誘起される誘導電圧には、電磁誘導電圧と静電誘導電圧がある。このうち、電磁誘導電圧は、一般に、電力線の(エ)に比例する。
- ①インダクタンス
- ②電圧
- ③電流
- ④コンダクタンス
- ⑤抵抗
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正解:③ 電流
電磁誘導電圧は電力線の電流に比例します(静電誘導電圧は電圧に比例)。
第5問
第5問(ア)デジタル変調(BPSK)
デジタル変調方式の一つであるBPSKは、1シンボル当たり(ア)の情報を伝送できる。
- ①1ビット
- ②2ビット
- ③4ビット
- ④1バイト
- ⑤2バイト
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正解:① 1ビット
BPSKは1ビットです。令和5年度第2回とほぼ同じ問題です。
第5問(イ)光受信器の雑音(ショット雑音)
光伝送システムに用いられる光受信器における雑音のうち、受光時に電子が不規則に放出されるために生ずる信号電流の揺らぎによるものは(イ)雑音といわれる。
- ①モード分配
- ②ビート
- ③インパルス
- ④ショット
- ⑤ASE
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正解:④ ショット
ショット雑音です。令和6年度第2回とほぼ同じ問題です。
第5問(ウ)WDM
WDMについて述べた次の二つの記述は、(ウ)。
A WDMは、各チャネル別にパルス信号の送出を時間的にずらして伝送することにより、伝送路を多重利用している。
B DWDMは、CWDMと比較して、波長間隔を密にした多重化方式であり、一般に、長距離及び大容量の伝送に用いられている。
- ①Aのみ正しい
- ②Bのみ正しい
- ③AもBも正しい
- ④AもBも正しくない
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正解:② Bのみ正しい
A:チャネルごとに時間をずらして送るのはTDM(時分割多重)です。WDMは波長を分けて多重します。誤り。
B:正しい。
第5問(エ)PCM(非直線量子化)
音声信号のPCM符号化において、信号レベルの高い領域は粗く量子化し、信号レベルの低い領域は細かく量子化することにより、量子化ビット数を変えずに信号レベルの低い領域における量子化雑音を低減する方法は、一般に、(エ)といわれる。
- ①直線量子化
- ②ハフマン符号化
- ③予測符号化
- ④変換符号化
- ⑤非直線量子化
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正解:⑤ 非直線量子化
量子化の幅を一定にせず、小さい信号ほど細かく刻むのが非直線量子化です。電話の音声ではμ則やA則といった方式が使われます。
第5問(オ)光変調(チャーピング)
光ファイバ通信において、半導体レーザの駆動電流を変化させて直接変調する場合、一般に、数ギガヘルツ以上の高速で変調を行うと光の波長が変動する(オ)といわれる現象が生ずる。
- ①波長チャーピング
- ②光カー効果
- ③回折現象
- ④ドップラー効果
- ⑤ポッケルス効果
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正解:① 波長チャーピング
波長チャーピングです。令和7年度第1回とまったく同じ問題文です。
解答一覧
出典:一般財団法人日本データ通信協会 工事担任者試験問題(令和4年度第1回)。解説は当サイトが独自に作成したものです。誤りにお気づきの場合はご意見フォームからお知らせください。