基礎トランジスタ・半導体の要点と過去問
基礎の第2問は、半導体の性質・トランジスタ回路の計算・各種素子の特徴で構成されます。計算は「IB → IC → 電圧降下」の順にたどれば解ける形がほとんどです。
半導体の基本
- 4価のシリコンに5価の不純物(リン・ヒ素・アンチモン)→ 電子が余ってn形。この不純物はドナー(電子を与える)。
- 3価の不純物(ホウ素・インジウム)→ 正孔ができてp形。この不純物はアクセプタ。
- キャリアの移動:濃度差によるものが拡散、電界によるものがドリフト。
- pn接合に順方向電流が流れると、電子と正孔が再結合する(LEDはこのエネルギーを光にする)。
トランジスタの計算
- バイアス計算の手順:IB=(電源電圧-VBE)÷RB → IC=hFE×IB → RCの電圧降下 → VCE。例:(10-0.7)V÷930kΩ=10μA、hFE=50 なら IC=0.5mA。
- コレクタ帰還バイアス(RBがコレクタとベースの間):RCには IC+IB が流れる。IBを無視すると別の選択肢を選んでしまうので注意。
- 電流増幅率:ベース接地 α=ΔIC÷ΔIE(1より少し小さい)、エミッタ接地 hFE(β)=IC÷IB。IE=IB+IC から IB を求める問題もある。
- 電圧増幅度:負荷線から VCE の振幅を読み、入力振幅で割る。
- 結合コンデンサは直流を通さず、交流(信号)分だけを通す。バイアス回路は動作点を設定する。
静特性と接地方式
| 入力特性 | VBE-IB |
|---|---|
| 出力特性 | VCE-IC |
| 電流伝達特性 | IB-IC |
| ベース接地 | 入力インピーダンス最小・出力インピーダンス最大、電流増幅率は約1 |
| エミッタ接地 | 電圧・電流とも増幅、電力利得が最大 |
| コレクタ接地 | (エミッタホロワ)入力インピーダンス最大・出力インピーダンス最小、電圧増幅度は約1。バッファに使う |
FET・各種素子
- FETはゲート電圧で電流を制御する電圧制御素子(バイポーラトランジスタは電流制御素子)。ゲート電圧を加えなくてもチャネルがあるのがデプレション型、加えて初めてできるのがエンハンスメント型。
- フォトダイオードは逆方向、LEDは順方向の電圧で使う。PINフォトダイオードは真性層を挟んだ構造で雑音が少ない、APDはなだれ増倍で高感度。
- 定電圧(ツェナー)ダイオードは降伏電圧で電圧を一定に保つ。可変容量ダイオードは逆バイアスを大きくすると静電容量が小さくなる。
- サイリスタはゲート信号でオンになるスイッチング素子。バリスタは電圧-電流特性が非直線で過電圧保護に使う(温度で抵抗が変わるのはサーミスタ)。
- DRAMはコンデンサの電荷で記憶しリフレッシュが必要、SRAMはフリップフロップで記憶しリフレッシュ不要。
過去11回の出題一覧(52問)
令和3年度第1回〜令和8年度第1回の総合通信から、この分野の問題を集めました。リンク先の解説ページで、問題文と詳しい解説を確認できます。
| 回 | 問題 | 小テーマ | 正解 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度第1回 | 第2問(ア) | 半導体(pn接合) | ③ 再結合 |
| 令和8年度第1回 | 第2問(イ) | トランジスタ増幅回路(電圧増幅度) | ① 20 |
| 令和8年度第1回 | 第2問(ウ) | ダイオード(受光・発光素子) | ④ AもBも正しくない |
| 令和8年度第1回 | 第2問(エ) | 半導体メモリ | ② DRAM |
| 令和8年度第1回 | 第2問(オ) | トランジスタ(電流増幅率) | ④ 39 |
| 令和7年度第2回 | 第2問(ア) | 半導体(拡散とドリフト) | ① Aのみ正しい |
| 令和7年度第2回 | 第2問(イ) | トランジスタ(バイアス回路) | ④ 8 |
| 令和7年度第2回 | 第2問(ウ) | ダイオード(ツェナー・可変容量) | ③ AもBも正しい |
| 令和7年度第2回 | 第2問(エ) | バリスタ | ③ 電圧-電流 |
| 令和7年度第2回 | 第2問(オ) | トランジスタ(接地方式) | ② ベース |
| 令和7年度第1回 | 第2問(ア) | 半導体(ドナー・アクセプタ) | ④ AもBも正しくない |
| 令和7年度第1回 | 第2問(イ) | トランジスタ(バイアス計算) | ③ 8 |
| 令和7年度第1回 | 第2問(エ) | トランジスタ(バイアス回路) | ③ 動作点 |
| 令和7年度第1回 | 第2問(オ) | トランジスタ(静特性) | ⑤ 出力 |
| 令和6年度第2回 | 第2問(ア) | 半導体(n形) | ⑤ 5価 |
| 令和6年度第2回 | 第2問(イ) | トランジスタ(コレクタ帰還バイアス) | ③ 265 |
| 令和6年度第2回 | 第2問(ウ) | トランジスタ増幅回路(結合コンデンサ) | ① 交流分 |
| 令和6年度第2回 | 第2問(エ) | 電界効果トランジスタ(FET) | ① Aのみ正しい |
| 令和6年度第2回 | 第2問(オ) | トランジスタ(コレクタ接地) | ⑤ インピーダンス変換 |
| 令和6年度第1回 | 第2問(ア) | 半導体(拡散) | ② 拡散 |
| 令和6年度第1回 | 第2問(イ) | トランジスタ(バイアス回路) | ② 4 |
| 令和6年度第1回 | 第2問(ウ) | ダイオード(受光・発光素子) | ③ AもBも正しい |
| 令和6年度第1回 | 第2問(エ) | 接合型FET | ④ ゲート |
| 令和6年度第1回 | 第2問(オ) | トランジスタ(静特性) | ③ 電流伝達 |
| 令和5年度第2回 | 第2問(ア) | サイリスタ | ② スイッチング |
| 令和5年度第2回 | 第2問(イ) | トランジスタ増幅回路(電圧増幅度) | ④ 50 |
| 令和5年度第2回 | 第2問(ウ) | トランジスタ増幅回路(結合コンデンサ) | ① コンデンサ |
| 令和5年度第2回 | 第2問(エ) | トランジスタ(バイアス回路) | ④ 動作点 |
| 令和5年度第2回 | 第2問(オ) | トランジスタ(ベース接地の電流増幅率) | ③ 0.98 |
| 令和5年度第1回 | 第2問(ア) | 半導体 | ④ 5価 |
| 令和5年度第1回 | 第2問(イ) | トランジスタ回路 | ④ 6 |
| 令和5年度第1回 | 第2問(エ) | 半導体メモリ | ① DRAM |
| 令和5年度第1回 | 第2問(オ) | トランジスタ(接地方式) | ③ ベース |
| 令和4年度第2回 | 第2問(ア) | 半導体(不純物半導体) | ① Aのみ正しい |
| 令和4年度第2回 | 第2問(イ) | トランジスタ(バイアス計算) | ④ 10 |
| 令和4年度第2回 | 第2問(ウ) | トランジスタ増幅回路(結合コンデンサ) | ⑤ 交流分 |
| 令和4年度第2回 | 第2問(エ) | バリスタ | ① 電圧-電流 |
| 令和4年度第2回 | 第2問(オ) | トランジスタ(電流伝達特性) | ③ コレクタ電流IC |
| 令和4年度第1回 | 第2問(ア) | 半導体(n形・ドナー) | ② Bのみ正しい |
| 令和4年度第1回 | 第2問(イ) | トランジスタ(コレクタ帰還バイアス) | ② 165 |
| 令和4年度第1回 | 第2問(エ) | 定電圧ダイオード(降伏現象) | ① 降伏 |
| 令和4年度第1回 | 第2問(オ) | トランジスタ(ベース接地の電流増幅率) | ④ 0.97 |
| 令和3年度第2回 | 第2問(ア) | サイリスタ | ③ スイッチング |
| 令和3年度第2回 | 第2問(イ) | トランジスタ(バイアス計算) | ④ 6 |
| 令和3年度第2回 | 第2問(ウ) | 受光素子(PIN・APD) | ③ AもBも正しい |
| 令和3年度第2回 | 第2問(エ) | 電界効果トランジスタ(FET) | ② Bのみ正しい |
| 令和3年度第2回 | 第2問(オ) | トランジスタ(電流伝達特性) | ① コレクタ電流IC |
| 令和3年度第1回 | 第2問(ア) | 半導体(拡散) | ② 拡散 |
| 令和3年度第1回 | 第2問(イ) | トランジスタ(バイアス計算) | ③ 8 |
| 令和3年度第1回 | 第2問(ウ) | トランジスタ増幅回路(結合コンデンサ) | ④ コンデンサ |
| 令和3年度第1回 | 第2問(エ) | MOS型電界効果トランジスタ | ③ AもBも正しい |
| 令和3年度第1回 | 第2問(オ) | トランジスタ(出力特性) | ② コレクタ-エミッタ間の電圧VCE |
ほかの分野別まとめ
トラヒック理論JIS X 5150(構内配線)ブール代数ISDN(基本・一次群・配線)デジタル式PBX端末設備等規則伝送理論電気通信事業法・工事担任者規則有線電気通信法・有線電気通信設備令電気回路・電磁気論理回路・2進数光配線・光測定LAN・PoE・無線LAN工程管理・品質管理・安全不正アクセス禁止法・電子署名法試験直前チェック
過去問演習で解いてみる出典:一般財団法人日本データ通信協会 工事担任者試験問題。要点のまとめと解説は当サイトが独自に作成したものです。